理事長 川上高司(Dr. Takashi Kawakami)
米民主党のハリス副大統領の国家安全保障顧問を務めるフィル・ゴードンは、ハリスは「米国のイスラエルに対する武器禁輸を支持しない」とXに投稿した。ゴードン顧問は「イランやイランの支援を受けたテロリスト集団から、イスラエルが自国を防衛できるようにすると副大統領は明言してきた」と投稿した。
この方針でハリスが大統領選挙を戦うのであれば大きな論争となるし、今後のトランプとのテレビ討論会ではこの点、激しい論議になるであろう。ゴードン「ハリスはイスラエルに対する武器禁輸を支持しない。ガザの民間人を守り、国際人道法を守るための取り組みを続けていく」と明言した。日本でもエマニュエル大使が長崎の平和祈念式典の出席をとりやめたほどである。日本政府としてもイスラエル支持をしている手前、ハリスが大統領となった場合の対応にねじれが生じる。しかもハリスは現在、現職の副大統領である。副大統領が大統領の政策を否定してしまえば米国の外交政策に疑念がでる。
これで米国内の保守主流派からのサポートはなくなるだろう。一方、米国内でのイスラエルのガザ地域への攻撃は厳しく、学生を始めとする反対運動が絶えない。これがどのように大統領選挙にひびくかも大きな焦点となろう。バイデン大統領のイスラエル支援をめぐっては、パレスチナを支持する左派やアラブ系住民からの不満が強く、バイデンハリスがそれをひっくり返すとなれば、民主党政権の一貫性も問われることになる。ハリスは「軍事支援を止めてイスラエルに圧力をかけるよう求める声もあるなかで、イスラエルの自衛権を重視する」とし大幅な政策転換を否定しつつも、パレスチナでの人道被害をめぐる懸念には耳を傾け、バランスを図る構えであるが、吉とでるか凶とでるかだ。 アメリカ国内の分断は今回の大統領選挙で一層深まることとなった。