核の脅威からどう日本を守か

<今日取り上げるニュース>
ロシアからの核兵器移転、ベラルーシ大統領「始まった」…米は「挑発的な選択」と批判
読売新聞 2023/05/27

 タス通信によると、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は25日、ウクライナへの侵略を続けるロシアの戦術核の自国配備に関し、「核兵器の移転が始まった」と述べた。両国は25日、配備後の戦術核の取り扱いを文書で確認した。米欧各国は強く反発している。

 ルカシェンコ氏は訪問先のモスクワで露テレビ局の取材を受け、保管施設などの準備について「我々はすべて終えた」と述べた。核兵器が自国領に到着したかどうかには触れず、配備される核弾頭の数や保管施設の場所も明らかにしなかった。……

「読売新聞」より 全文は以下よりお読みくだい

 広島G7サミットでは「核兵器のない世界」が全面的に訴えられたが、現実は、「核兵器のある世界」がますます現実になってきている。アメリカを始めとするNATO諸国のウクライナへのF16戦闘機の供与がきまり、ますます、ウクライナでのロシアの劣勢が伝えられている。そのような中、ロシアの戦術核がウクライナの隣国のベラルーシに運びこまれている。つまり、ウクライナでの戦争がロシアにとり生存を脅かすような脅威となった場合、ロシアからウクライナを攻撃するのではなく、ロシアの同盟国のベラルーシから打ち込まれる可能性が極めて高まったということになる。

 日本にとっても他人事ではない。G7サミットは、ロシアからみれば「ロシアに対する西側諸国の結束をしめし、その戦闘にたって気勢を上げたのが日本」だと映るだろう。であるならば、日本はロシアの核攻撃の標的になったと考えられる。ロシアばかりではない、北朝鮮は核武装を強固にし、「日本を火の海にする」と脅しミサイル実験を繰り返す。中国は核弾頭数を増やし、10年内には1,000発まで増やすという。

 問題は、日本はアメリカの核の傘(拡大抑止)どうどう確実にするかであり。最近ようやくでてきた論議は「核シェア」である。アメリカの核を日本にシェアしてもらうという論議である。NATO諸国では核を持っていない、ベルギー、ドイツ、ィラリア、オランダ、トルコの5か国に米国所有の航空機搭載戦術弾頭B-61が配備されている。その論議と実行は今すぐにでも、日本に必要である。
(川上高司/日本外交政策学会理事長)