【ロンドン=共同】スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は12日、2023年1月時点の中国が保有する核弾頭数が昨年同月から60発増え、推計410発になったと発表した。「中国が既に核戦力を著しく拡大し始めている」と指摘、今後も増加が見込まれ「国の安全維持に必要な最小限の核戦力」とする中国の説明との整合性が取りにくくなっているとした。
「日経新聞」より 全文は以下よりお読みくだい
6月12日スウェーデンのSIPRI(ストックホルム国際平和研究所)は、中国の核弾頭数が約410発に増えたと発表した。年間60発の増加である。
米国防総省によると、中国は「2030年までに核弾頭を少なくとも1000発」、「2035年までに1500発」保有する可能性があると指摘する。そうなれば、米中間の核バランスが大きく崩れることにある。その結果、米露間になりたっている「核の二極体制」から「核の三極体制」への移行し、現在のMAD(相互確証破壊)体制は崩れてしまう。
しかも、ウクライナ戦争により中国とロシアが接近していることから、仮に、中露さらには北朝鮮が結託して、米国に対抗した場合には、中ロ朝の共同の「核の脅し」が高まることが予想される。
そうなれば、スタビリティ・インスタビリティ・パラドックスが生じ、地域紛争の可能性が高まる。その結果、中国が台湾や尖閣への軍事進行への誘惑にかられやすくなろう。また、その機に乗じた北朝鮮の韓国進攻の危機も高まろう。
(川上高司/日本外交政策学会理事長)