NATO事務所が日本に設置されることの意味

<今日取り上げるニュース>
マクロン仏大統領、NATO東京事務所に反対 FT報道
日本経済新聞 2023/06/06

【パリ=北松円香、北京=田島如生】英フィナンシャル・タイムズ(FT)は5日、フランスのマクロン大統領が北大西洋条約機構(NATO)の東京連絡事務所開設に反対したと伝えた。事務所開設に関するNATO内の数カ月の議論はフランスの抵抗で複雑なものになったという。中国との関係悪化を懸念したとみられる。

NATOと日本は2024年中に東京に連絡事務所を設置する方向で調整を進めている。アジア太平洋地域の国々と連携を深め、中国への対応を協議する足がかりとなる。

「日経新聞」より 全文は以下よりお読みくだい

 フランスのマクロン大統領が北大西洋条約機構(NATO)の東京連絡事務所開設に反対した。インド太平洋地域はNATOの管轄外だと指摘したうえで「中国や(米中)どちらかに肩入れしたくないアジアのパートナー国に間違ったメッセージを送らないようにすべきだ」と話した。フランスらしい冥利につきる外交である。

 もし、NATO事務所が日本に設置されれば日本はNATOの準加盟国となり、ヨーロッパ戦線にも関与することになり、ロシア、中国、北朝鮮と本格的に対峙せねばならなくなる。

 現在、日本は率先してヨーロッパの戦争の関与している。NATOは集団でロシア一国と対峙しているわけであるが、日本は一か国でこれら三か国と立ち向かわねばならない。在日米軍基地はあるが、米軍はグアム、ハワイ、オーストラリアへと重心を移している。そのため、日本は下手をすると米国からの援軍がやってくるまでの間、一か国でこれら三か国を相手するることもありえる。

 本来、日本の立ち位置は日米同盟強化で抑止力を強化する一方、外交力で中露朝との脅威を低減すべきである。そして、三か国の連携を弱体化させるのが定石のはずである。

 むしろ日本はフランスやインド、それにグローバルサウスととうもに、米国とロシアの間の代理戦争となっているウクライナ戦争の終結に外交的努力をはらうべきである。

 勝てる戦争は否定しないが、負ける戦争を日本は絶対にしてはならない。日本を戦場にしてはならないし、もし、戦争に巻き込まれたとするならば日本の被害限定を考え、終戦をどうするかまで手を打っておかねばならない。

 ハドソン研究所の創設者のハーマン・カーン博士が「Think  about unthinkable thing(考えられない事を考える)」必要性を説いたが、日本にはそういった戦略的思考が必要である。
(川上高司/日本外交政策学会理事長)