サイバー攻撃によって通信や行政機能が揺さぶられ、偽情報が世論を分断し、正体を特定できないドローンが飛来する。それでも、ミサイルは一発も飛んでこない。

日本政府の各部門は、同じ情報を見ているとは限りません。官邸、防衛省、警察庁、消防庁、海上保安庁、外務省、経済官庁。そして米国と台湾。それぞれが異なる権限、情報、時間感覚、優先順位のもとで判断を迫られます。
一つのチームの中にいるプレイヤーには、自らの判断が別の陣営にどう受け止められ、どのような連鎖を引き起こしたのか、その全体像は見えません。
その全体を、当事者に限りなく近い距離から観察する。これが、今回募集する「オブザーバー」です。
ポリミリ・ゲームとは何か
ポリミリ・ゲーム(Political-Military Simulation)とは、国家間の政治、外交、軍事、経済、情報が複合的に絡み合う危機事態を想定し、実際の政策判断に近い条件下で行う意思決定シミュレーションです。
今回は、国会議員、元自衛官、警察・海上保安庁・関係省庁の実務経験者、専門家、研究者ら約40名が、日本政府、米国、台湾、中国、ロシア、北朝鮮などの役割に分かれて参加する予定です。限られた時間と不完全な情報のもと、相手の意図を読み、自国の利益と責任を背負って判断します。
あらかじめ決められた結論へ導く講演会や討論会ではありません。各チームの選択が次の局面を変え、正解が示されないまま新たな決断を迫られる実践的な演習です。ここで得られた知見は、日本外交政策学会の分析と政策提言につながる重要な成果となります。


今回のテーマ――武力攻撃に至らない「対日戦」
今回のテーマは、「台湾有事での新領域戦に日本政府はどう対処するか――台湾総統選挙時での対日戦」です。台湾総統選挙をめぐる局面を想定し、レッドチーム(中国・ロシア・北朝鮮)が仕掛ける認知戦、経済的威圧、法律戦、サイバー戦、ドローン戦に、ブルーチーム(日本・米国・台湾)がどう対応するかを検証します。
レッドチームは、武力攻撃事態の域を越えません。行動は否認可能で、十分な証拠は残らず、被害はまず民間企業や重要インフラに現れます。
このとき、日本政府は誰の権限で、どの法的根拠に基づき、何を決められるのでしょうか。攻撃者を確定できないことは、事態認定、対抗措置、国民への説明、同盟国との調整にどのような連鎖を生むのでしょうか。
今回のポリミリは、日本政府が「何も決められない」状態へ追い込まれる可能性と、その原因となる制度・組織・情報上の空白を可視化します。
三つの局面で、日本の意思決定を追う
第1フェーズ|認知戦・経済的威圧・法律戦――「静かな包囲」
第2フェーズ|サイバー戦――「指揮機能の麻痺」
第3フェーズ|ドローン戦・複合攻撃――「見えない攻撃者」
攻撃が段階的に重なるなかで、政府は事態認定を行うのか、訪台団を派遣するのか、攻撃主体を公表するのか。官邸・各省庁・日米・中央と地方は、最後まで同じ状況認識を共有できるのか。判断の結果だけでなく、その決定に至る過程を追います。
オブザーバーだから見えるもの
オブザーバーは、各チームの意思決定そのものには加わりません。その代わり、特定の国家や省庁の立場に縛られず、ゲームの進行と各陣営の判断を俯瞰して観察します。
◯開会から最終局面まで、ゲームの全過程を観察
シナリオ説明、各フェーズの展開、最終判断まで、時間の経過とともに意思決定が変化していく過程を確認できます。
◯両チームを横断し、情報格差と認識のずれを確認
事務局の案内と運営上の制限に従い、各陣営が何を知り、何を知らないまま判断したのかを観察します。同じ出来事が、日本政府、米国、台湾、レッドチームでどう異なって見えるのかを比較できます。
◯公式報告会「ラップアップ・プラス」に参加
ゲーム直後に、意思決定の背景、判断に迷った局面、想定外の展開、制度上の問題を参加識者・実務家が整理します。後日の報告書では失われやすい一次的な知見を共有する場です。
※「ラップアップ・プラス」の詳細はこちらでご確認ください
これは「見学」ではない
オブザーバー参加の価値は、著名な参加者を間近で見ることでも、完成した結論を受け取ることでもありません。
注目すべきなのは、誰が正しい判断をしたかだけではなく、なぜ判断が遅れたのか、どの情報が届かなかったのか、どの権限が重複し、どこに空白があったのかです。さらに、一つの陣営にとって合理的な選択が、別の陣営との関係をどう損なうのかも見えてきます。
安全保障を抽象的な知識としてではなく、通信、物流、行政サービス、企業活動、世論、外交関係に連なる現実の意思決定として捉える。そのための観察席です。
オブザーバー参加で確認できる主な論点
●日本政府の意思決定は、どこまで進み、どこで止まったのか
●攻撃主体を確定できない状況で、何が判断材料となったのか
●官邸と各省庁、中央と地方、官と民の間に、どのような情報格差があったのか
●日本、米国、台湾の認識と優先順位は、どこで食い違ったのか
●レッドチームは、日本政府の政治的意思を挫くために何を狙ったのか
●制度・運用・政策提言に結びつけるべき課題は何か
■ 開催概要
日時:2026年9月28日(月)10:00〜18:30(受付開始9:40)
【内容】ポリミリ・ゲーム 10時〜16時30分 ※途中休憩あり
ラップアップ・プラス 17時〜18時30分
場所:衆議院議員会館(東京・永田町)予定 ※会場詳細は参加者のみに通知
対象:日本外交政策学会 会員限定(申込と同時に入会可)
参加費:100,000円
※参加費は、全額ポリミリの運営費に充てさせていただきます
※参加者には、本年6月5日に開催された「認知戦TTX」報告書を謹呈いたします
※非課税事業につき消費税は発生しません
参加にあたっての注意事項
守秘義務:ゲームで知り得た内容を外部へ公開することはできません。申込時に機密保持条件への同意が必要です。
撮影・録音の禁止:会場内での写真撮影、録音、動画撮影、SNS投稿等は禁止します。
参加形態:原則として終日参加をお願いします。途中入退館を希望する場合は、事前にご相談ください。
観察範囲:各チームへの立ち入りや移動については、当日の進行および事務局の指示に従ってください。
この参加費が、ポリミリを支える
オブザーバー参加費は、国会議員、行政・安全保障の実務経験者、専門家、研究者ら約40名が参加するポリミリ・ゲームの運営に充てられます。参加者は、政策判断の現場を観察すると同時に、日本外交政策学会による検証と政策提言の取り組みを支えることになります。
■申込方法
お申込みは、以下のページから、機密保持契約に同意していただいた上、お名前(会員名)とメールアドレスをご記入ください。おって、支払い方法など詳細をご連絡いたします。
※締め切りは、2026年9月21日23時59分です

お問い合わせは、pr@jfpc.siteまで御願いします
