「インドのバランスオブパワー政策」はかつての日本の全方位外交だ

「グローバルサウスの代弁者」という枕詞(まくらことば)が定着しつつあるインド。20カ国・地域(G20)議長国を務める今年、モディ首相は大国への地位固めの好機とみて、外交攻勢に出ている。
「できることは何でもやる」。招待参加した5月下旬の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)で、対面会談したウクライナのゼレンスキー大統領に、ロシアとの戦争解決への協力を伝えた。

「日経新聞」より 全文は以下よりお読みくだい

グローバルサウスの代表格となったインドは、「全方位外交」とも「八方美人外交」ともいえる総合安全保障外交を展開し、ポスト中国としてその存在感を際立たせてる。
 日本も「総合安全保障」という枕詞で「軍事と経済は別物だ」という経済外交を展開して日本の国益を追求した。それを地で言っているのがインドだ。先進国には「民主国家の連携」を強調し、欧米にも中露とも距離を置くグローバスサウスに寄り添う。
 5月のG7広島サミットで、西側各国首脳ならびにゼレンスキー大統領と会談しウクライナ戦争の平和的解決を話した直後、パプアニューギニアの「インド・太平洋島諸国協力会議」に出席。そして、オーストラリア訪問。そして、21日から米国に国賓扱いで訪ずれた。一方、インドはロシアから大量の原油と兵器を買い付ける。
 さらに、国境紛争を抱える中国ともその貿易額でみるとダントツだ。
 このインド外交、つまりかつての日本外交である「全方位外交」、さらには「総合的安全保障政策」への復帰が日本の生き残りの道であろう。
(川上高司/日本外交政策学会理事長)