米軍、パプア海軍基地を15年間使用 中国有事に備え―米国(シーパワー)と中国(ランドパワー)の相克―

【ワシントン=中村亮、シドニー=今橋瑠璃華】米国とパプアニューギニアが5月に結んだ防衛協定の全容が分かった。日本経済新聞が入手した防衛協定の全文によると、米軍はパプアの海軍基地を含む6カ所を15年間使う。台湾有事などを念頭に「不測の事態への対応」を用途に明記した。米国は太平洋で勢力拡大を目指す中国に対抗する。

アメリカは海洋国家である。歴史的に大陸国家であるロシアや中国とは覇権争いを行ってきた。その戦略を築いたのが、アルフレッド・マハンである。

「日本経済新聞」より 全文は以下よりお読みくだい

 アメリカは海洋国家である。歴史的に大陸国家であるロシアや中国とは覇権争いを行ってきた。その戦略を築いたのが、アルフレッド・マハンである。
 
 1900年に入ってからセオドア・ローズベルト大統領の軍師であった米海軍大学校の初代教官アルフレッド・マハンは「海を制すという」というシーパワー戦略を発表した。マハンは、「海の支配こそが国家戦略の基礎であり、米国の国家戦略は、大海軍で全世界に通商を拡大することである」と説いた。 

 ローズベルト大統領はマハンの戦略を実践し、フィリピン、ハワイ併合、グアム、ウエーク島と太平洋の島嶼をアメリカの傘下に治めながら、海の地政学を実践していく。それ以降、アメリカはラージポリシィ(拡大政策)をとっている。

 太平洋戦争で日本に勝利をおさめたアメリカは、日本を前方展開基地として大陸国家である中露を抑止する戦略を展開し、シーパワーのリムランド(中心島)のアメリカ本国を守ってきている。

 ところが最近になりランドパワーである中国が海洋に進出をし、南シナ海をおさえ、太平洋にまで触感を伸ばしてきている。いわゆる第二列島線(伊豆・小笠原諸島からグアム・サイパンを含むマリアナ諸島群などを結ぶ線)の陣取り合戦である。

 このことは、第一列島線(日本列島および南西諸島から台湾、フィリピンを経て南シナ海にかかるライン)の要である台湾後が中国に傘下にはいり、突破された後のことをにらんだ米中の争いがすでに熾烈をきわめている。

(川上高司/理事長)